サーフショップ 湘南のツール
サーフショップではサーフボードやウェットスーツなど、サーフィン用品を取り扱っています。
先述した先代松田恒次の発想と相似形をなしている。
なんのことはない、ウーレス以来のマツダは梅型企業の原点に回帰しつつあるのだ。
企業は、その創業の精神に戻ったとき、威力を発揮する。
かみそりウーレス社長を継いだのは、穏健なミラー現社長である。
ウーレス社長は、一年五カ月かかってマツダの企業文化を変えた(マツダ入社以来では三年五カ月)。
まだ完全には変わっていないが、軌道には乗った。
その上を速度を上げながら走らせるのがミラーである。
ウーレスは知の経営者であった。
つぎのミラーは人間を最上の資産とする情の経営者である。
その意味では、いい後継者である。
私がはじめてインタビューしたとき、開口一番、「社員は最大のリソーセズ(資源)だ」といい切った。
これはフード太社の大原則である。
そういう意味では巨大な梅型企業フードの傘下に、小さな梅型企業がおさまっているのである。
ここでは旧ダイムラー・ベンツを頭に置いて、やや詳しく述べる。
原点は、一八八六年にさかのぼる。
カール・ベンツという一人の天才が、マンハイムの公道で三輪自動車を走らせた。
世界ではじめての快挙であった。
時速は一五キロであった。
ベンツは、当時四二歳だった。
以後、彼は自動車の技術開発に一生を捧げる。
とくに長距離レースで名声を馳せ、ベンツ車の定評は当時、神話とさえなっていた。
同じころ、ゴトリーブ・ダイムラーは自動車レースで連戦連勝を誇り、一九〇一年三月の一週間突破レースでは当時の悪路にもかかわらず、平均時速八六キロを記録した。
二人は、それぞれカール・ベンツ社、ゴリーブ・ダイムラー社を経営していた。
ところが、その事業内容も経営哲学もじつによく合致していた。
この両社に合併の話を持ち込んできたのが、メルツ社のキッセル博士だった。
こうして一九二六年、合併会社ダイムラー・ベンツ株式会社が誕生した。
ただし、ベンツもダイムラーも、生前には一面識もなかった。
とくにダイムラーは一九〇〇年、この世を去ったため、自分の会社がベンツ社と合併することも知らなかった。
この二社に共通していたのは、自動車にたいする情熱であった。
勝つクルマを生産することだった.それは、創業者が生前、面識もなかっただけに、合併会社の伝統として、素直に受け継がれてきた。
その意味でダイムラー・ベンツという会社は、まさしく実在は二人ながら、創業の精神は純粋にひとつであった。
その意味で、B群の属性はほとんどない。
妥協も協調もしないところが梅型企業である。
この会社の樹形は、創業時代の梅型、二次大戦当時から一九八〇年ごろまでの桜型、九〇年代の梅型と、かなり樹形を変えている。
その時代その時代の経営者の欲である。
ただ、感心するのは、創業時代の精神が一貫していることである。
ここではへそのゆれた前後のダイムラーをみてみる。
この組織変更劇に登場する歴代の社長は、三人いる。
W・ブライヒシュベル、E・ロイター、そしてシュレンプである。
この間、約一二年かかっている。
まず、登場するのはブライヒシュベル社長である。
彼の主張は、収益の根幹をなす高級車戦略の構築にあった。
これからいかに高級車の開発をすすめていくか、どんな技術を取り入れていくか。
その思案の候補に上がったのが、いわゆるハイテク技術の採用だった。
これは、当時のダイムラー・ベンツ社としてはある意味で新しい着眼だった。
私はこのころ、シュツッガルの本社を取材したことがある。
そのときへある技術者とのやりとりは、いまでも印象に残っている。
「さいきんの日本は、ただシャッターを押すだけで撮れる全自動カメラがはやっているそうだが、私はむしろそれは反対ですね。
やはり焦点深度を合わせ、シャッター・スピードも周囲の明るさと調整してはじめていい写真が振れるのではないですか」その技術者は、私の全自動カメラを見下ろすようにして、そういった。
こういう風潮があっその翌日、ジンデルフィンゲンにある同社最大の乗用車工場を取材した。
最後の仕上げラインでは白衣を着た検査役が、ドアの立てつけ、閉まり音などをチェックしていた。
このとき、さすが高級車だなと思った半面、その前近代的な作業に、内心がっかりしたことを、覚えている。
W・ブライヒシュベル社長の心情もまた同じだったにちがいない。
彼は、一九八五年二月から八六年はじめにかけて、ヨーロッパの主要なハイテク産業をみずからの傘下におさめた。
ディーゼル・エンジン、ガスタービンの専門メーカーMTUT航空宇宙機器メーカーのドルニエ、さらにエレクロニクス機器メーカーのAEGである。
こうして高級車開発の支援材料として、これらのハイテク技術をフルに使っていった。
おりしも、日本企業がセルシオ、インフィニティといった最高級乗用車の開発を急いでいるときだった。
それには、わが牙城をどうしても防御する必要があった。
あわせて、バブル経済を目前にして、世界的に高級車市場が伸びそうな気配でもあった。
つぎに登場したのが、E・ロイター社長だった。
彼はブライヒシュベル社長時代、財務担当取締役として、MTU、ドルニエ、AEGなどをつぎつぎに子会社化した当の責任者であった。
ところが、ロイターにはブライヒシュベルを凌ぐ野望があった。
ダイムラー・ベンツ社として、ドイツ最大の「総合技術コンツェルン」に仕上げる野望であった。
すでに航空宇宙、エレクトロニクスなどの軍需産業を傘下におさめ、あわせて自前の自動車産業をもっている以上、押しも押されもせぬドイツ最大の総合重工業になっていた。
このとき、ダイムラー・ベンツ社は持ち株会社となった。
ドイツ最大の「総合ハイテク・コンツェルン」へと大発展をとげたのである。
具体的には、そのコンツェルンのもとに、四つの株式会社を置いた。
それぞれが独立会社であり、一人ずつ社長が選ばれた。
当然、売上げは伸びた。
ロイターが社長に就任した八七年は、六七四億DM(ドイツマルク)へそれが七年して、九四年に一〇四〇億DMに大飛躍したのだった。
ところが、である。
大飛躍したのは、売上げ規模だけだった。
もうけの度合いを示す肝心の売上利益率は、八七年の二・六%をピークに、九〇年に二・一%九三年には〇・六%と、ひたすら奈落の底に沈んでいった。
これは梅型企業として誕生したダイムラー・ベンツ社が、危うく桜型企業に傾きかけた瞬間だった。
なにしろ、低収益企業を時を置かずにつぎつぎに子会社化していったのだ。
組織を重視するし、従業員は過剰になり、それが収益の足を引っぱった。
これがダイムラー・ベンツ社にむかしからある自動車事業部だけだったら、合理化のしようもあった。
既存企業をいっきょに取り込んでコンツェルン化しょうとしたところに、最大の経営上の過ちがあった。
九五年五月、桜型企業を夢みたロイター社長は、シュレンプにバンタッチする。
九六年はじめ、シュレンプ社長(現会長)は、南アフリカのカタシュタッの別荘で、ダイムラー・ベンツ社の大リストラ計画を練っていた。
それはロイター前社長が在任七年間かかって築き上げ、そして失敗に終わった「総合ハイテク・コンツェルン」構想を根元から再考することだった。
それは同時にドイツ最大の製造業ダイムラー・ベンツ社社内に一大文化革命を巻き起こすことだった。
ここで練られた構想が、持ち株会社撤回であった。
シュレンプ社長は、のちにこう述べている。
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